「速さ、わからん」。
速さの問題で止まる子の多くは、「道のり ÷ 速さ」の公式は知っています。止まるのは、2人が出てきたときです。
2人の問題で見るのは、2人それぞれの動きではありません。「2人の間の距離が、1分でどれだけ縮むか」です。親が返す問いを、この1点に絞ります。
この記事のポイント
・合言葉は 「出会いは和、追いつきは差」
・まず見るのは 2人の間の距離。1分でどれだけ縮むか
・計算の前に、単位をそろえる(mと分速、kmと時速を混ぜない)
基礎問題
(1)A地点とB地点は1800m離れています。太郎さんはA地点から分速80m、花子さんはB地点から分速70mで、同時に向かい合って出発しました。2人が出会うのは何分後ですか。また、出会う場所はA地点から何mですか。
(2)弟が家から分速60mで出発しました。その12分後に、兄が分速150mで後を追いかけました。兄が出発してから何分後に弟に追いつきますか。

解き方(1)― 出会いは「和」
親の声かけ
「2人の間の距離は、1分でどれだけ縮むと思う?」
太郎さんが1分に80m、花子さんが1分に70m近づきます。
2人の間の距離は、1分で
80 + 70 = 150m ずつ縮みます。
はじめの距離は1800mなので、
1800 ÷ 150 = 12分後 に出会います。
出会う場所は、太郎さんが12分で進んだ距離です。
80 × 12 = 960m。A地点から960mの地点です。
解き方(2)― 追いつきは「差」
追いつきで最初に見るのは、「兄が出発した時点で、どれだけ離れているか」です。
親の声かけ
「兄が出たとき、弟はもう何m先にいると思う?」
弟は12分先に進んでいるので、
60 × 12 = 720m 先にいます。
兄は1分に150m、弟は1分に60m進むので、差は1分で
150 − 60 = 90m ずつ縮みます。
720 ÷ 90 = 8分後 に追いつきます。
向かい合えば「和」、同じ向きなら「差」。見るのはいつも、間の距離の縮み方です。
応用問題(愛光中学 2015年 入試問題)
列車Aは長さ175mで、毎時72kmの速さで走っており、列車Bは長さ105mで、毎時54kmの速さで走っています。列車Aが鉄橋をわたり始めてからわたり終わるまでに50秒かかります。(1)鉄橋の長さは何mですか。(2)列車Aと列車Bが同じ向きに走るとき、列車Aが列車Bに追いついてから追いこすまでに何秒かかりますか。(3)列車Aと列車Bが反対向きに走るとき、出会ってからはなれるまでに何秒かかりますか。

通過算と呼ばれる問題ですが、(2)と(3)は基礎問題の追いつき・出会いそのものです。違うのは、列車に「長さ」があることだけです。
まず、速さを秒速に直します。
列車Aは 72km ÷ 1時間 = 秒速20m。
列車Bは 54km ÷ 1時間 = 秒速15m。
親の声かけ
「列車には長さがあるね。渡り終わるって、先頭が着いてから最後尾が抜けるまでだよね」
(1)列車Aが50秒で進む距離は
20 × 50 = 1000m。
この1000mは「鉄橋の長さ + 列車の長さ」です。
鉄橋の長さは 1000 − 175 = 825m です。
(2)追いこすには、2つの列車の長さの合計
175 + 105 = 280m ぶん、差を詰める必要があります。
同じ向きなので、差の縮み方は「差」の
20 − 15 = 秒速5m。
280 ÷ 5 = 56秒 です。
(3)反対向きなら「和」の
20 + 15 = 秒速35m で近づきます。
280 ÷ 35 = 8秒 です。
問題の姿が変わっても、「間の距離が、どれだけの速さで縮むか」を見る点は同じです。
親の役目は、ここまでで十分です
教えるのは、聞かれたときの1問だけ。深い積み残しの立て直しは親の役目ではなく塾の仕事です。
速さは、グラフ(ダイヤグラム)や流水算へ広がっていく単元です。「和か、差か」と問い返すところまではご家庭で十分に支えられます。その先の立て直しは、塾にお任せください。