「食塩水、わからん」。
家庭学習で、こう言われることはありませんか。
やり方をそのまま教えてしまうと、その場は進んでも、数字が変わるとまた止まります。この単元は、親が返す「問い」を1つ決めておくだけで、子どもが自分で進められるようになります。
親が隣で一緒に解く。そのほうが、子どもには一番響きます。この記事は、そのための1問です。
この記事のポイント
・合言葉は 「食塩は何g?」。%はいったん置いておく
・混ぜるときは、食塩と全体を 別々に足す
・水を加えても、食塩の量は変わらない
基礎問題
4%の食塩水300gと、9%の食塩水200gを混ぜます。できた食塩水は何%ですか。また、できた食塩水に水を加えて5%にするとき、水は何g必要ですか。

解き方 ― まず「食塩の量」に直す
濃度の問題は、%のまま考えると混乱します。最初に、食塩が何g入っているかだけを出します。ここで親が返すのは、答えではなくこの一言です。
親の声かけ
「%は置いといて。まず、食塩だけ何g入ってるか出してみて」
4%の食塩水300gに入っている食塩は
300 × 0.04 = 12g。
9%の食塩水200gに入っている食塩は
200 × 0.09 = 18g。
混ぜたあとの食塩は
12 + 18 = 30g。
食塩水全体は
300 + 200 = 500g です。
濃度は 30 ÷ 500 = 0.06
つまり 6% になります。
ポイントは、4%と9%をそのまま足したり、平均したりしないこと。食塩の量と全体の量を、別々に足してから割り直します。
水を加えるとき、食塩は増えない
後半は、引っかかりやすいところです。ここでも、先に問いを返します。
親の声かけ
「水を足しても、食塩の量は増えると思う?」
水を加えても、入っている食塩の量は30gのまま変わりません。変わるのは全体の量だけです。
5%で食塩30gになるには
全体が 30 ÷ 0.05 = 600g 必要です。
今は500gあるので、
加える水は 600 − 500 = 100g です。
応用問題(開智中学 入試問題)
ビーカーAには濃さ6%の食塩水500g、ビーカーBには濃さ2%の食塩水300gが入っています。A、Bから同時に同じ量の食塩水をくみ出し、Aからくみ出した分はBに、Bからくみ出した分はAに入れてよくかき混ぜたら、同じ濃さになりました。(1)入れ替えたあとの濃さは何%ですか。(2)入れかえた量は何gですか。

実際の入試問題です。でも、見るものは基本と同じです。「全体では、何が変わらないか」。
親の声かけ
「AとBを合わせた食塩の量は、入れ替えても変わると思う?」
Aの食塩は
500 × 0.06 = 30g。
Bの食塩は
300 × 0.02 = 6g。
合わせると、食塩は36g、全体は800g。入れ替えても、この合計は変わりません。
最後は2つが同じ濃さになるので、
36 ÷ 800 = 0.045
つまり(1)は 4.5% です。
(2)は、Aだけを見ます。
親の声かけ
「Aの食塩が何gになれば、4.5%になる?」
Aが4.5%になるには、食塩は
500 × 0.045 = 22.5g。
はじめは30gあったので、減った食塩は
30 − 22.5 = 7.5g。
1g入れ替えるごとに、Aの食塩は
0.06 − 0.02 = 0.04g ずつ減ります。
7.5 ÷ 0.04 = 187.5
つまり(2)は 187.5g です。
操作が複雑でも、「変わらないもの」から入れば、手がかりがつかめます。
教えるときのチェックリスト
1. 答えではなく、問いを返す
最初の一言は「食塩は何g?」。ここが濃度算の入口です。
2. %同士を足したり平均したりしない
混ぜたら、食塩と全体を別々に足してから割り直します。
3. 「変わらないもの」を子どもに言わせる
水を加えても、食塩の量は変わりません。変わらないものを軸にすると、式が立ちます。
親の役目は、ここまでで十分です
教えるのは、聞かれたときの1問だけ。深い積み残しの立て直しは親の役目ではなく塾の仕事です。
毎日教えようとしなくて構いません。何度も同じところで止まる、どこから分からなくなっているのか見えない。そういう立て直しは、ご家庭では無理のない範囲で支えていただき、あとは塾にお任せください。